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ギョーカイ徒然日記

徒然日記
<タイアップの功罪>

今年の1月に、
当サイトのピックアップニューカマーで紹介した、
元ちとせのデビュー曲「ワダツミの木」が、
ロングヒットを記録中である。
このことには、ある意味、溜飲が下がる思いがした。

宇多田ヒカル、Dragon Ash、GLAYなどの強豪と堂々と肩を並べ、
彼らのチャートアクションが次第に鈍っていくにも関わらず、
(今週発表のとあるセールスチャートでは遂に1位の座についたほど)
上位をキープし続けている。
これは新人としては異例の現象である。
そして驚くことに、
この曲はFM局各社のパワープレー楽曲に推奨され、
頻繁にオンエアはされたものの、
基本的にはノンタイアップの作品だった。
にもかかわらず歌は大ヒット。
その要因は、
楽曲のクォリティもさることながら、
彼女の歌にあることは誰もが認めるところ。
ライブやイベント、コンベンションの会場では、
彼女の歌声を聴き、涙を流す人たちが続出したとか。
その噂が噂を呼び、口コミで徐々に広がっていき、
いろんなメディアが取り上げ、特集した。

いい曲だから売れる。
というのが本来の音楽シーンのあるべき姿だと思う。
が、ヒットチャートの上位を見渡すと、
純粋にいい曲だからと認知されて売れている曲は極わずかではないだろうか?
そのほかの曲はアーティストの勢いとタイアップ効果に因るところが大きい気がする。

今では、
新しくリリースされる曲に何かしらのタイアップが付くことが当たり前になっている。
タイアップがつかないとシングルとしてリリースできない状況にある、
といってもいいくらいだ。
勿論、音楽にもビジネス的側面がある以上仕方のないことであり、
せっかく曲をリリースする以上、
多くの人に聴いて貰いたいわけだし、
そのための手段のひとつとして、タイアップが有益なのもわかる。
しかし、楽曲の善し悪しよりもタイアップのほうが重視され、
それがセールスに影響を与えすぎているような気がしてならない。

例えば、
絶大的な人気を誇るアニメ番組の主題歌だったら、
大抵の場合、そのテーマソングとなった曲はヒットする。
人気俳優が出演するテレビドラマの主題歌の場合もしかり。
中にはバラエティ番組内での過剰なオンエアによって売れるケースもある。
なにはともあれ、とにかくタイアップ。
番組やCMの中身と、曲の雰囲気のマッチングなどおかまいなし。
深夜番組のエンディングテーマのような、
期待薄のタイアップであっても、ないよりはまし、
なのだろう。

ただ、タイアップの効果でヒットチャートが左右されるのは、
なんだかおかしな話ではないか?
それはヒットチャートではなく、
タイアップの効用チャートに近い。

それでも、かけ出しの無名の新人が、
タイアップをきっかけにブレイクするのならまだしも、
ネームバリューの十分にあるトップアーティストがタイアップに頼って、
大袈裟な宣伝活動や大量オンエアを企てる様を見ると、
人気の維持に必死になっているような空気を感じて、
逆に痛々しく思えてしまう。
別に誰とは言わないが…。

そこでは購買意欲をかきたてられるどころか、
毎日好きでもない音楽をこれでもかと聞かされることに対する
嫌悪感のほうが先走ってしまう。
仮に好きなタイプの楽曲だったかも知れない作品が、
何度も繰り返し聞かされることで、
拒絶するようになったり飽きてしまうようなことがあるなら、
それは不幸なことではないか。

だからこそ、元ちとせの功績は大きいと思えるのだ。
一介の新人が、楽曲の資質と純然たる歌の才能やセンスで、
これだけ支持されたのだから。
(因みに、彼女の2ndシングル「君ヲ想フ」が間もなくリリースされる)
ある程度知名度があり、プライドもあるアーティストならばなおさら、
純粋に楽曲のみで勝負して欲しいと思う。
それが音楽シーンの健全なあり方のように思えるし、
ギョーカイ全体の活性化に繋がる気もするから…。

もう出来レースは御免である。
そして本当の音楽シーンを知ってほしい。
タイアップの上に胡座をかく駄曲の陰には、
思いのほかたくさんの佳曲が隠れているのが実情なのだから。

本当の音楽シーンを知ってもらいつつ、
自分だけのヒット曲を見つけるのも、意外と楽しいものである。

当サイトがそんなことにひと役買えたなら幸せである。

J-POP 花前線編集部/Ms

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