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ギョーカイ徒然日記
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先日、事務所の机の上を整理していたところ、
興味深い資料を見つけた。
毎年、社団法人日本レコード協会によって表彰される、
日本ゴールドディスク大賞の第16回(昨年度)ぶんの報告書である。
送付していただいたのは4月頃だったと思う。
ただその時は、大賞受賞者の項目を一瞥した程度で、
その後は机上の肥になりつつあった。
だけどふとしたきっかけで再度目にしたら、
これが結構面白い。
その報告書の何に目を奪われたかといえば、
賞名(ジャンル分け)と受賞アーティストの一覧である。
中でも“ロック・アルバム・オブ・ザ・イヤー”と、
“ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤー”に選出された顔ぶれ。
“ポップ〜”には、宇多田ヒカル、E.L.T.、CHEMISTRY 、ゴスペラーズ、SMAP、
竹内まりや、DA PUMP 、浜崎あゆみ、松任谷由実、MISIA の名前が。
それはまだわかる。
だけど、
“ロック〜”にはL'Arc-en-Ciel 、Mr.Children 、JUDY AND MARY 、
ポルノグラフィティに混じって、
福山雅治、平井堅、鬼束ちひろ、倉木麻衣、aikoの名前があった。
百歩譲ってaikoに、千歩譲って福山に頷いてみたとしても、
その他の面々に“ロック”という響きがどうにもしっくりいかない。
以降、鬼束も倉木も、ロックシンガーと紹介しなければならないのか?
と同時に、何がロックで何がポップなのかの基準が知りたくなった。
いろんな取材現場で、アーティストやレコード会社の宣伝マンの口から、
“音楽をジャンル分けすることなんてナンセンス”
的なコメントを幾度となく聞いてきたこともあり、
どうしてもその分け方が気になって、
すかさず、日本レコード協会に電話した。
すると、
対応してくれた業務部の方の話によれば、
日本レコード協会としてはジャンル分けの基準は設けていないということだった。
どういうことか?
この賞は基本的に、
各レコード会社が選出に値する作品(年間 100万セールスが基本)を、
日本レコード協会に申請するのだという。
協会側は申請のあった作品の中から受賞作品を選出するのだと、と。
問題はその申請。
“ロック〜”に申請するか“ポップ〜”に申請するかは、
レコード会社次第なのである。
つまり、「おさかな天国」でも氷川きよしでも、
レコード会社が“ロックだ!”と言い張れば、
それはロックとしてノミネートされるということになる。
なんともヘンな話である。
われわれも、一般通念として、
“ロック”や“ポップ”といった言葉を使って表現しているが、
それはあくまでも便宜上のことであって、
何がロックでポップでソウルでファンクでパンクでニューエイジで演歌なのかという、
明確な線引きなどできるものではない。
協会の担当者曰く、
もともと“ロック”と“ポップ”は、
レコード店で目当ての作品を探す際に、
どの棚に行けば見つけられるかをわかりやすく示すための分け方であって、
賞名はその名残でもあるらしい。
となると、賞のあり方にも問題がないわけじゃないが、
そのこと以上に、
音楽のジャンル分けに違和感を表すアーティストとより密接な立場にいて、
ジャンル分けに異議を唱えているレコード会社の人間が、
せっせと自社アーティストを“ロック”と“ポップ”に区分けしている姿を想像すると
滑稽でしかたない。
でも実際には、いまだにCDの帯の下の部分に、
ジャンルを表記している作品もある。
今どき、
ポップとロックに棚を分けてディスプレイしているレコード店には、
おいそれとお目にかかれないことを考えると、
音楽業界は、
一見、最先端をいく華々しい業界のように見えて、
その実芯の部分では古い体質を引きずったままの垢抜けない業界なのかも知れない。
仮に“クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー”を受賞した小澤征爾や、
“アニメーション・アルバム・オブ・ザ・イヤー”を受賞した久石譲が、
“僕はロックですから”なんて言ったら、
いったいどの部門にノミネートされるのだろう?
などと不真面目なことをぼんやり考えたりもした。
いずれにしても、
そうした古い体質が残る限り、
無意味な音楽のジャンル分けは存在し続けるのだと思う。
J-POP 花前線編集部/Nk