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ギョーカイ徒然日記
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昨日(6月5日)、
東京国際フォーラムで矢井田瞳のコンサートを観た。
昨年末のドーム公演を仕事で見逃してしまったせいもあり、
個人的に楽しみにしていたライブだった。
が、
結果的に中座してしまった。
その悲しい理由とは、そしてことの顛末は…。
この日はマネジメントオフィスから招待していただいていたので、
関係者受付を経由して入場した。
その際、受付にいたスタッフから、
「お席のご用意ができませんでしたので、
関係者用のパスを見えるところに貼って、
適当な場所でご覧下さい。
特に(見る場所の)指定はございません」
と言われてパスを受け取った。
で、全体が見渡せる場所がよいと思い、
1Fの最後部の扉前で見ることにした。
扉の前はちょっとしたスペースがあり、
僕以外にも2〜3人同じ境遇の人が立って見ていた。
もちろん、最後部なので、
他のオーディエンスの視界を遮ることもなく、
誰に迷惑をかけているわけでもない。
ところが中盤にさしかかる頃、
場内警備&誘導に携わるスタッフがいきなりやってきて、
「すみません、ここでは見ることができませんので、
立ち見が可能な場所までご案内します」
と言う。
口調は丁寧だったが、丁寧なぶん慇懃無礼にも感じられた。
要は、
「ここで見させるワケにはイカンので、
見ていい場所まで案内するからついてこい」
ということなのだ。
ちょっとカチンときた。
どこでも自由に見てくれと言われて
誰の邪魔もせず、むしろ小さくなりながら、
ホールのいちばん後ろの壁(扉)にへばりつきながら見ていた僕らを、
ちょっとした罪人扱いで強制移動させるのだから。
しかも曲の途中で。
そのスタッフは僕らを無理やりロビーフロアに連れだした。
(その時演奏されていた)個人的に聴きたいと思っていた曲は、
そのスタッフによって聴くことを中断させられてしまった。
指定の場所まで案内される僕らは、
有無を言わせぬ刑務所の看守によって
独房へ案内される囚人のようではなかったか。
カチンときた勢いで、歩きながら
「インフォメーションが徹底されてませんね」
と案内係の彼に訊いた。
すると、
「申し訳ありません。規則なので…」
と言う。
「規則? それなら受付でそう言ってもらわないと…」
「すみません」
「そのせいでライブの途中、曲の途中で外に出されて、
見たくても見られない状況を無理やり作られてしまった僕らの立場はどうなります
?」
「申し訳ありません」
別に案内係の彼を責めるつもりはないし、
責めても仕方ない。
上からの言いつけを従順に守っているだけなのだし。
ただ、
もし仮に、
ライブレポートの仕事で見にいっていたとしたらどうなっていたのか?
ステージを見ずにレポートを書くことは、
曲を聴かずにレビューを書くようなことなのではないか?
たかだか1曲(数分)だからいいじゃないか、ということか?
案内された場所は、
ステージ両脇に据えられたモニタースピーカー(ステージに向かって左側)の
前のスペース。
つまりステージの袖前の、
左端から見ているような状況。
それまでの、最後部とはいえステージのほぼ正面で見ていた状況と比べると、
あきらかに音のバランスは悪い。
しかも出入口扉の真横なので、観客の行き来も頻繁で、
その都度視界が遮られる。
さらに僕の前にも関係者が何人も立って見ているので、
邪魔な頭を避けようと、前後左右に半歩ずつ移動しながら、
ステージがよく見える位置に足場を変えてみると、
別のスタッフがやってきて、
やれ下がれだの、やれ前に出ろだの、
背中や肩を押される。
彼らは彼らで、
扉への通路スペースをしっかり確保すべしという、
上からの指示を忠実に守っている真面目なスタッフでしかない。
だけど、
さらに別のスタッフが、
僕が本当に関係者パスを貼っているのかどうなのか、
厄介者を見るような目で、
(実際は暗がりだからそんなふうに感じただけだが)
足元から首筋にかけて眺め回すように
入れ代わり立ちかわりチェックしにくるのには辟易した。
結果、ステージに集中できない。
いまひとつ楽しめない。
再びカチンとくる。
ということは、
さして音もよくない、その代わり人通りの多い、
ステージ横の限られた狭いスペースで始終“気をつけ”の姿勢で、
監視員がウロウロしても微動だにせず、
おとなしく見続ければいいのか?
まっぴらである。
確かにライブが無事に進行するようにキマリは守らなければいけない。
お金を払って見に来ている人たちの妨げになってはいけない。
(マスコミ)関係者であることをふりかざつもりはないし、
招いていただいた立場であることもわかっている。
それでもライブは気持ちよく楽しみたい。
せっかく与えられた環境で可能な限り自由に楽しみたいだけなんである。
普通に見ていたら、この日のライブはすごく面白かったと思える内容だっただけに、
次から次へと僕を縛りにくる
途中退場をせずにはいられないくらいの
不条理と窮屈感と息苦しさが残念でならない。
結局、
ステージのクォリティとは裏腹に、
諸々の理由で楽しめなかったという事実だけが残った。
ただこれだけは言っておきたいのだが、
ヤイコに罪も非もない。
特定の誰かに憤りを覚えているわけでもない。
嫌だったのは、
誰が作ったのかは知らないが
コンサートを楽しむための一般的な仕組みの中に、
観客、関係者を問わず全員を押し込めてしまいがちな風潮。
彼女に限っていえば、
活動の規模は大きくなったが、
スタッフワークを含めた周辺の体制が
それに追いついていないように感じる。
さらに、
彼女に限らず、音楽シーン全体でいえば、
コンサートの楽しみ方を、
安全確保のお題目のもと、
ある画一的なシステムやルール、雰囲気に押し込め過ぎなんじゃないか。
もちろん事故があってはいけなのだが、
楽しみ方を、手取り足取り、
細部にわたって決められたくはない。
行儀がよすぎるあまり、
盛り上がる曲、盛り上がる箇所、盛り上がり方が一様なコンサートになっても、
みんなは楽しめているのだろうか?
(無理に立つことなく一人だけ座っていようが、
みんなと同じように両手をステージに向けてかざすことなく、
一人だけ腕組みしていようが、いいじゃないか)
他人に迷惑をかけなければ、好き勝手に楽しんでいいはずなのに…
と、ふと疑問に思えたのだ。
せっかく僕を招待してくれたマネージャー氏には申し訳ないと思うが、
開演中に引き回されたあげく、自由を奪われ型に押し込められることには
息苦しくてどうしても我慢ができなかった。
今度はお金を払って見にいこうか…。
「J-POP 花前線」編集部/Nk